なぜ今遺骨収集をするのか?

■現状

海外戦没者のうち
    半数近くの遺骨が海外に残されたままです

 厚生労働省の発表によれば、海外戦没者240万人のうち、半数近くの113万人がいまだに日本に帰ってきていません。
 人口が100万人未満の県がありますので、一県の全人口よりも多い人たちが未帰還ということになります。
 113万人の未帰還者のうち、海没遺骨や、相手国の事情によって収容不可能な遺骨を除いて、60万人の遺骨が収容可能と言われています(厚労省発表)。
 近年の収容数はかなり減ってきていて年間の収容数が0柱の地域もあります。
 (参照) 国立千鳥ヶ淵戦没者墓苑 「別紙 千鳥ヶ淵戦没者墓苑納骨一覧表」



■問題点・課題

①従来のやり方が通じなくなってきている

 戦後の遺骨収容は、部隊の行動記録等の資料、帰還者への聞き取り調査等の国内の情報をもとに実施されてきました。けれども戦後70年近くがたち、自然変化や人の手によって現場の様子は全く変わり、それらの情報だけでは遺骨を見つけるのが非常に難しくなってきました。そのため、収集数は先細りになっています。各地域の現状に合った、新しい方法を見つけることが必要です。

②時間がない

(1)情報の枯渇

 空援隊は、平成18年の設立当初から、現地の情報を重視して調査を行ってきました。しかし、現地でも戦争を知る人が年々少なくなってきて情報を手に入れにくくなってきています。

(2)遺骨が土に還り始めている

 数年前に見つけていれば持ち帰れた遺骨が、土に戻り始めています。
 そのような遺骨は手で触れれば土と一緒に崩れてしまいます。せっかく見つけても、それはその場に埋め戻すしかありません。


                   土に戻り始めた遺骨は収容できず他国の土となる

  もう少し早ければ―

 骨のかけらだけでもいい、戻ってきてほしかった。そんな遺族の話はこれまで数えきれないくらい多く伝えられています。日本で帰りを待っていた遺族がその願いを叶えられず、亡くなっていっています。
 けれども遺骨はまだまだ数多くあり、我々のような民間のボランティア団体が見つけられる場所にあります。
 祖国への帰還を今でもじっと待っている人たち、そして遺族の思いをこれ以上無視続けることはできない。遺骨収容は緊急に取り組まなければならない事業です。

③費用の問題

 これまで空援隊は新しい方法を模索し、多くの遺骨を見つけてきました。
 今も計画はありますが、現地政府の許可や土地所有者との交渉、考古学者の雇用費、渡航費など多くの費用が不足していて、実現できない計画が多くあります。

④国に遺骨情報を提供していることに意味がない

 現在、空援隊が把握している遺骨情報は、約5万体分。
 フィリピンでは現在調査活動をしていませんが、再開すれば、約3~5万体分の遺骨情報を再確認することができます。 そして、各地の保管場所に1万体分の遺骨を集めることも、予算さえあれば、1年もかからずに可能になります。
 そうなると国がそれらのご遺骨を収容する気になれば、簡単に日本に帰還させることができます。
 フィリピン以外の場所においても、米軍資料等の分析により、ご遺骨の放置されている場所を200m四方にまで、既に絞り込んで特定できており、そのような場所が無数に存在します。 これらについても同じように、予算があれば、すぐにでもという状態です。
 国が本気でやるのであれば、ここ数年のうちであれば、そう難しいこともなく、数万体のご遺骨を帰還させることが可能になります。
 従来の国のやり方を踏襲すると、70年が経っても、当然ですが今の状態が改善されない、という現状を追認することになります。
 既に空援隊が国に通報し、現状確認が終わっている所だけでも、約5千体を超えるご遺骨が海外に放置されたままです。

 もちろん、この事実を国は公表していません。

■何をすれば良いの?

①多くの人に現状を知ってほしい

 戦争が始まってから70年以上がたち、戦争体験者が年々少なくなってきています。これからますます戦争は風化していきます。戦争の風化や無関心は、活動の大きな妨げとなります。先人の努力によって今日の繁栄を享受することができた日本。国のため、故郷のため、家族のために戦争で命を落とした113万人の先人達が未だに海外で取り残されている現状を知ってほしい。
 戦争は終わっても、まだまだやり残したことがたくさんあること。このことを一人でも多くの日本人が知り、関心を持ち続けることが遺骨収容事業の後押しとなります。空援隊では海外での調査活動を希望する会員の方々や、国内外の遺骨収容団体と一緒に、現地での調査・収容活動等も実施しています。

  ●「映像」ページでは、これまでの調査活動等を様々な映像で紹介しています。
   是非ご覧ください。  →映像ページ
  ●YouTubeには「空援隊チャンネル」があります。
   2分程度の短い作品も多くありますのでこちらも是非ご覧下さい。 
             →YouTube空援隊チャンネル

②できることをする

 どうすれば少しでも多くの方を祖国にお迎えすることができるのか。
 それに対するまだ明確な答えはなく、私たちも活動をしながら考え、模索し続けています。たとえ方法を見つけても、認可の問題、資金や人的不足等が大きな妨げとなって活動したくてもできないことがあります。それでも、できることから取り組んでいき、なんとか活動を継続しています。遺骨収容に関わる個人や団体のほとんどが、人も資金も不足しているなか、ボランティアで活動をしています。遺骨収容に関わる人たちが増えること、また少しでも資金面のご支援を頂ければ、継続して活動できます。
 直接の活動や支援に関われなくても、継続して関心を持ち続けて頂くこと、それも一つの活動となります。他人事とは思わずに、一人一人ができる活動をして頂くことを願っています。


                成田空港の外通路の片隅で行われる遺骨の引き渡し式
                遺骨を出迎えるのは厚労省の職員のみ、5分程で終了する。
                一方、米国では?→『戦没者に対する日米の違い』2分(YouTube)

■遺骨収集はしなければいけない?

 遺骨収容なんてやらなくていいんじゃない?
 それよりも今、もっとやることがあるでしょ?

 活動をしているとこんなことを言われることがあります。
 色々な考え方があり、その意見もよく分かります。
 ただ、戦争は国がはじめたもの。その戦争で日本のために戦い、命を落とした多くの国民。戦争の犠牲になった幼い子供、女性を含む多くの民間人。この人たちを最後の一人まで探し出し、日本に帰還させる。これは戦争を始めた国としての責任ではないでしょうか・・・。自分たちがしたことの責任をとるのは、戦争にかぎったことではなく、当たり前のことなのではと・・・。

 日本人が多く行くリゾート地のすぐ近くの民家から遺骨が見つかる、畑に野ざらしになったままの遺骨、建設工事で地面を掘れば遺骨が大量に見つかる・・・。こんな情報が数えられないくらい多く寄せられます。日本に帰れる人たちが、まだ世界に数多く取り残されている現状を、まずは少しでも知ってもらえれば・・・。

 今私たちが繁栄した日本で暮らせるのは、これまで生きてきた多くの日本人の営みが礎となっています。現在に続く歴史の途中で、国のために戦争で亡くなった日本人がいる。そして多くの遺骨がいまだに放置されている。そんな現状を知ってしまった以上、放っておくわけにはいかない。空援隊はそんな思いで、一刻でも早くひとりでも多くの人たちを祖国にお迎えするために、思想信条は関係なく活動しています。


             サイパンのバンザイクリフ  多くの軍人・民間人がここから身を投じた




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